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うけどんで、繋がるコミュニティを目指して

うけどんで、繋がるコミュニティを目指して

浪江愛に溢れるご夫婦

昨年10月に浪江町イメージアップキャラクターに就任した「うけどん」。

イクラの髪の毛に鮭の帽子、大堀相馬焼のどんぶりに入った小さな女の子で、もちもちの体が特徴のお米の妖精です。もともとは、東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故によりバラバラに避難を余儀なくされた町民に対し、町の情報を届けるために配布していたタブレット端末を、身近に感じ親しんでいただくために町民からの公募で誕生したキャラクターです。

「タブレットの中だけの平面のうけどんを、立体にしたらどうだろう。タブレットから飛び出して、もっと町をPRできないか」

そうした考えがきっかけで、木彫りうけどんの製作が始まりました。
始めて完成したのは2016年のこと。
回転させて立体形を削り出す小さな機械を購入し、見様見真似で研究と試作を繰り返しました。

「うけどんを通して沢山の人に浪江の良さを知って欲しい。」

木彫りうけどん誕生までのお話を聞けば聞くほど、浪江愛に溢れています。

量産せずに丁寧に

始めて木彫りうけどんが完成してから間もなく2年半が経とうとしています。現在は本拠地を浪江町に据え、ご自宅の庭には自作の「うけどん販売中」ののぼりが立てられ、通る人の目を惹きます。

立体的な形を切り出す機械も年々大きなものにグレードアップし、より忠実にうけどんを再現しています。この木彫りのうけどんはふるさと納税の返礼品に登録されている他、直接購入希望のご連絡をいただくこともあるそうです。
「一つ一つ手作りですし、趣味の延長といった感じです。これが仕事になってしまうと、きっと事務的になってしまいますし、何よりプレッシャーが辛いですね。」
手作りだから2つと同じものはないことも魅力です。
「欲しいという方には長く飾って欲しいから、量産できなくても丁寧さを大切にしたいです。」

長引く避難生活…そしてモノづくりの原点へ

東日本大震災に見舞われ、その4年後には仕事を辞めて浪江町に戻ることを決意していた2013年、佐藤さんは突然の病に襲われました。

思うように身体を動かすことができない日々、不自由な生活が続いたと言います。そうした中で、福島第一原子力発電所の事故による避難生活は、まったく先の見えない状況でした。さらに、避難先の福島市は寒さが厳しく、雪の多い地域です。次第に仮設住宅に引きこもることが増えていきました。
「何か時間をつぶせるもの、夢中で取り組めるようなものを見つけたかった」
モノづくりの始まりはここからでした。

工房Kippajiのこれから

自宅の横には、立派な工房が備えてあります。「工房Kippaji」。このKippaji(きっぱじ)とは、方言で“切れ端”という意味があります。佐藤さんが手がける木彫りは、大工さんやご近所から提供されたヒノキ、集成材、米松などの切れ端で作られています。
これから取り組んでみたいことはありますか?という問いに、
「例えば、町内では自宅の解体が進んでいます。ご近所のお宅も解体と聞いてたんですがね、突然その木材で何かできませんか?と相談があったんです。そこで、そうした自宅で使われていた柱なんかを、飾れるようなものに変えてあげたら喜ばれるんじゃないかなって思いました。もしこれから機会があればそうした取り組みもしてみたいですね。」

夫婦二人三脚で取り組むモノづくり。

震災前から変わらぬ故郷「浪江」への熱い思いは、「うけどん」という形になって、全国へ佐藤さんご夫婦の思いを繋いでいます。

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【工房 Kippaji】
木彫りうけどんに関するご相談やお問い合わせはこちらへ
代表:佐藤芳美
E-mail:kiyohasimurakara2008@spice.ocn.ne.jp

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