なみえびと

2019-06-13

丁寧に、大切に。花を育むように、人も育む浪江町。

必ず戻ってくる…その時手にしていたものはたった1本の釣り竿でした

浪江に生まれ浪江で育った生粋の浪江っ子。
そんな菅野富美恵さんは室原川高瀬川漁業協同組合で長年働いていました。

「震災が発生した時には、漁業組合もパニックでした。」
と当時を振り返ります。

バタバタと避難が始まる中で、いつ浪江に戻ってくることができるのかわからない、もしかしたらすぐに帰ってこられるのかも、そんな気持ちが入り乱れます。

 

「どんな状況になったとしても、私は必ず浪江に戻ってくる!その時はそれしか頭にありませんでした。」

 

そして避難のために持ち出した荷物は、たった一本の釣り竿だけだったそうです。

震災を経験し、自分のこれからが見えた時

震災を経て、ご自身の進むべき道が見えていました。
かつて友人のお姿を見て農業の魅力を知っていた菅野さんは、迷うことなく農業が学べる短期大学へ入学。
そこではトウモロコシや枝豆など作物の栽培を主に学び、その後浪江町へと戻ってきました。

 

浪江町では花卉(かき)栽培という新たな境地へと導く素晴らしい人達との出会いがありました。それが菅野さんの運命を変えたのです。

 

「教わりながら”少しずつ”を確実に進めています。現在育てているのは、トルコギキョウ6,000本・カラー・オキシペタラムの3種類です。今ようやくトルコギキョウが花を咲かせ始めました。とにかく感動そのものです。」

品種改良を重ねながらも原種の遺伝子を残すトルコギキョウは、現在浪江町の特産として注目されています。ハウスの中には、白と紫紺の花が咲き始め、柔らかく大きな花びらが目を引きます。

女性として女性のために女性に喜ばれるお花を作りたい

皆さんにとってお花は身近なものですか?
結婚式やお誕生日など特別な日を彩るツールとして大きな役割を担う切り花。
菅野さんが生産者として「大切にしていること」を伺いました。

「お花を使うときって、特別な時ですよね。使う方の好きな色、形、お客さまの視点に立って、要望に応えられるようなものを作りたいと思っています。」

いつか自分の育てた花を気に入ってくれる人が現れて、リピーターとなってくれればと思いを巡らせます。

やってもらう側から、提供できる側になる

 

 

「人を豊かにする、人が豊かになるのが花」。
花への愛情、そして花が持つ魅力を切々と語る様子は、人生を花に懸けるという強い想いが伝わってきます。

 

「私がこの花たちを育てたのではありません。私は花に育てられています。花たちはそれぞれ頑張って、自分たちの力でこうして素晴らしい花を咲かせているんですよ。」

これからも花と一緒に、花と共に育っていくという菅野さん。
もし皆さんの街でもトルコギキョウを目にすることがあったら、生産者の想いと同時に浪江町を思い出してください。

いつかたくさんの人の目に留まることを願って。

▲ヤギの「あか」と「あお」と過ごす日々


 

【Namiemachi Flower Project】
花でつたえる、花でつながる。
浪江町では、花 一輪一輪に想いを込めて、さまざまな取り組みを始めています。
さらに、その花の一大産地化を一緒に目指す花づくりの仲間を求めています。
▽詳しくはこちら
https://www.namie-flower.jp/