なみえびと

2019-11-25

オープンから3ヶ月、自問自答の日々

714日に新規オープンとなったイオン浪江店。現在、町内で唯一のスーパーマーケットです。これまで飲食店、コンビニはあったものの、生鮮野菜の入手は難しく、スーパーマーケットの開店は待ちに待ったと言っても過言ではありません。開店から3か月経ち、店長を務める二本木さんにお話しを伺いました。

「私たちの想像していたよりも、良い方向で進んでいます。これは逆に言えば、お店に大きな期待を抱いていただいているということだと感じています。」
実際に、夕方の店内は常に行列ができています。仕事を終えた方々だけではなく、家族連れや高齢のご夫婦の姿もあります。
「これで良いのか、本当に町民の皆さんの役に立てているのか、日々自問自答しながら取り組んでいます。」

お店の品揃えは町民のニーズに合わせる

客層は時間帯によって大きく変化します。朝夕はお仕事をされている方、午後1時から午後4時までは町民と思われる方が多く来店すると言います。
通常のイオン店舗は、商品の品揃えには決められたフォーマットがあります。
しかし浪江店にはフォーマットは存在しません。
お店の広さはそれほど広くはありませんが、圧縮された陳列棚に所狭しと商品が並べられているのが特徴です。
「町の方々の要望を吸い上げて、どんどん商品を入れ替えています。可能な限り来店してくださる方のニーズに合わせた品揃えを目指したいです。」
客層が違えば求めるものも多様です。そうした中で、特に町内に住む方々にとってどのようなものがあれば便利なのか、また、どのようなサービスが求められているのか、町民ファーストに真摯に取り組んでいこうという強い思いが伝わってきます。
「品揃えに関しては、これが正しいとは思っていません。まだまだお店はこれから変わっていくと思います。お店の広さは、皆さんが満足していただけるものでは無いと思いますけれど、可能な限り取り扱いできる商品については取り扱っていこうという考えで会社を挙げて全力で取り組んでいきますよ。」

震災時は山形、福島そして広野での経験を経て浪江へ

生まれは大阪の堺、10歳から奈良へと移りました。
こてこての関西のイントネーションで、物怖じしない話し方と気さくな人柄に誰しも好感を持つことでしょう。

震災時は山形県東根市に住んでおり、イオン東根店で勤務していました。その後、イオン福島店の中にある山形福島事業部へ異動。そして、東日本大震災で被災した相双エリアの8町村の中で、いち早く町民の帰還に取り組んでいた広野町にイオン広野店がオープンし、そこへ応援で入ったメンバーの1人でした。
イオン広野店は、浪江店同様一般的なイオンの形態ではなく、住民のニーズに合わせた手法を取っている店舗の1号店としてモデルケースを作った店舗です。被災地にオープンした店で様々な経験を重ねるうちに、「小売業をやるからには、直接お客様のためにできる事があったらなと思い始めたんです。」と言います。それから程なくして来年浪江店をープンさせようという話が出ました。
「僕でよろしければ、頑張らせていただきます。」
そう答える事に、不安や迷いはありませんでした。

成果は、5年後10年後の浪江町

「店は店として大事ですが、買い物にきていただける人が増えてこそ、この浪江店の真価が問われる時なのではないかと考えています。この店がある事で、浪江町に住んでみようと思ってもらえるような、そんなきっかけになるお店を目指しています。小売業は町の復興を支える一つのパーツでしかありません。そこで何ができるかは1年や2年では答えは出ないと思っています。だからこそ5年後10年後を見据え、今をしっかりと取り組んでいく必要があります。そしてその時に、イオン浪江店が浪江町を形づくるパーツの一つになっているといいなと思っています。」
令和元年10月時点で町内居住者は、1,154人です。まだまだ居住人口は少ないですが、このスーパーマーケットの存在は、新たなコミュニティを生んでいます。
店長さんを始め、こうした熱い想いを持った人たちの手によって支えられて、少しづつ浪江町は形づくられています。5年、10年先の成果のために、今頑張っています。

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【イオン浪江店】
・住所 浪江町大字幾世橋字大添60-1
・電話 0240-23-6885
・営業時間 年中無休
月~土(祝除く)6002000
日・祝     9002000